企業の伴走者として

変化する企業法務のニーズに対応

失われた20年やデフレからの脱却を目指し、第二次安倍内閣は、いわゆる「3本の矢」からなる経済政策(アベノミクス)を打ち出しました。三本目の矢である成長戦略に当たる「日本再興戦略(平成25年(2013年)6月)では、産業の新陳代謝の促進、雇用制度改革・人材力の強化、科学技術イノベーションの推進、世界最高水準のIT社会の実現、海外市場獲得のための戦略的取組等が掲げられ、その実行のために、コーポレートガバナンス強化を図るための会社法改正(平成26年、2014年)、マイナンバー法制定(平成25年、2013年)、働き方改革関連法案、データ保護のための不正競争防止法改正等、様々な法改正がなされました。
また、フィンテック・IT分野の発展(AI、仮想通貨、メタバース)など、既存の法律や制度に捉われない新しいビジネスを始める企業も多くみられるようになりました。
さらに、企業は海外市場獲得のためにグローバル展開を加速し、その際に、競争法規制、データ保護規制、人権侵害防止など、海外の法律の域外適用への対応も必要となりました。
このように成長戦略を実現するための企業活動を行う際に、企業法務においては、その適法性を確保するために、経営陣に対して、迅速に法的リスクや解決策を示す役割が求められるようになりました。
当事務所は、このような企業法務のニーズに応えるべく、各分野における専門知識・経験を高めるとともに、特に専門的な対応を要する人事労務分野、租税分野、知的財産分野、渉外分野において、プラクティスチームを立ち上げました。また、渉外分野に関しては、世界的な法律事務所のネットワークであるTerraLexにも加盟しました。
さらに、この時期、ビジネス環境や企業倫理に関する考え方の変化や企業のガバナンス強化に対する意識の高まりにより、長年隠れていた不祥事が発覚したり、従前あまり問題視されることがなかったことも不祥事と評価されることが増えました。
当事務所においても、事前予防としての危機管理や事後的対応としての不正調査の業務を多数扱い、社会の価値観の変化に企業が対応できるよう提言や再発防止策の策定を行いました。
さらに、発行会社側に立った企業価値向上への取組、買収対象会社やその独立委員会への助言、発行会社側に立ったプロキシーファイト、アクティビストから提起された訴訟等への対応、日本版ウルフ・パック(特に仕手筋ウルフ・パック)が強く疑われる事案への対応も数多く経験し、様々な形態の「企業防衛」に向けた対応に奮闘しています。

令和元年(2019年)末以降世界を襲った「コロナショック」により、世界中の事業・市場を取り巻く環境が激変しました。それに加え、令和4年(2022年)2月に発生したロシアによるウクライナ侵攻の影響も相俟って、世界経済の先行きのみならず、我が国を取り巻く安全保障環境は不透明感を増しているといえます。このように、社会・経済環境が劇的に、かつ国際的規模で変化する時代は今後も続いていくことが予想されます。これに伴い企業活動や企業の在り方の根幹に大きく影響を与える法改正が今後も行われていくことが見込まれます。

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