座談会

当事務所を選んだ理由

田子

「本日はお集まりいただきありがとうございます。この座談会では、当事務所に弁護士登録と同時に入所した久木元先生と、中途採用で入所した新實先生に、それぞれ、就職活動当時の経験や当事務所入所後の働き方などについて、お聞きしたいと思っています。 早速ですが、お二人が当事務所に入所を決めた理由をお聞かせください。」

久木元

「当事務所との初めての接点は、ロースクール3年次に参加したサマーアソシエイトプログラムでした。当時、ロースクールの友人は、いわゆる大規模法律事務所を志望する方が多く、当事務所のような中規模法律事務所の情報は必ずしも十分に把握できていませんでしたが、サマーアソシエイトプログラムの機会を通じて、当事務所の先生方の穏やかな雰囲気や、幅広い規模・分野の案件に取り組める環境があることを知ることができ、当事務所に魅力を感じました。当時は、将来専門としたい分野を絞り切れていなかったので、当事務所がセクション制をとっておらず、幅広い分野の業務に携わることができることも魅力的でした。また、顧問先企業を始めとするクライアントと継続的な信頼関係の中で業務を行うという当事務所のスタイルは自分に合っていると感じました。就職活動に際しては、大規模法律事務所も検討しましたが、やはりこれらの点が決定打となり、当事務所に入所することを決めました。」

新實

「私は、事務所選びに際しては、幅広い業務分野を経験する中で自分の軸となる専門分野を見つけられることや、若手のうちから案件の中で主体的に活躍できることを特に重視していました。そのような考えのもと、最初は大規模法律事務所に入所しましたが、実際に働く中で当初の希望が十分に実現できているか疑問に思い始め、転職を検討することにしました。 当事務所へ面接で訪れた際に、長い歴史を持つ事務所であることから、法律顧問としての相談が数多くあり、案件の種類や規模、分野もかなり幅広く取り組めるという特色があると知りました。また、そのような長い歴史を持つ事務所であるにもかかわらず、若手が案件の中で主体的な役割を担うこともできると聞き、自分の希望に合致していると感じ、当事務所への入所を決めました。」

坂本

「久木元先生のように司法修習後から入所された方はもちろんですが、新實先生のような中途入所の方も、幅広い分野の業務に携わりたいという理由で当事務所へ移籍される方は多いですね。」

田子

「お二人に挙げていただいたとおり、上場会社を始めとする数多くの企業の法律顧問として、非常に幅広い業務分野を経験できることは当事務所の最大の特色といえますね。長い歴史の中で様々な企業との間で信頼関係を築いてきた当事務所だからこその特長であると思います。」

当事務所での働き方

坂本

「入所経緯は異なるお二人ですが、入所後は当事務所でどのような働き方をしていますか?」

久木元

「入所前に聞いていたことや、サマーアソシエイトプログラムで体感したことと異なるところはなく、実際に幅広い規模・分野の案件に携わっています。また、特定のパートナーとの仕事に偏ることなく、バランスよく、多くのパートナーと仕事をする機会があります。1年目を終える頃には、事務所にいるほとんどすべてのパートナーと仕事ができたのではないかと思います。」

新實

「久木元先生と同様に、入所した直後から、予想以上に幅広い業務分野に主体的に携わることができています。顧問先企業の業種によって相談内容は様々であり、これまで触れたことのない分野のご相談が来ることも日常茶飯事なので、とても勉強になります。例えば、エネルギー関係の会社や医療製品メーカーの会社などからの相談では、通常の企業法務ではあまり触れることのない業界独自の法規制等の検討をすることもあり、ある意味、スペシャリストとしての経験も積むことができているのかもしれません。また、前事務所で比較的多く経験したファイナンス分野の案件にも積極的にお声掛けいただいているので、前職の経験も活かすことができています。」

久木元

「若手が主体的に案件に関与できるという点も、入所前に聞いていたとおりでした。1年目からクライアントの窓口となりますし、株主総会のリハーサルでは役員の方に対してコメントをする機会もありました。2年目になる頃には直接自分宛てにクライアントからご相談が来ることもあり、自分も当事務所の一員として当事務所の歴史を受け継ぎ、信頼関係を築けていることが感じられて、自信につながりました。また、クライアントの「顔」の見える仕事ができることは、業務に励む上でのモチベーションにもなっています。」

新實

「私も同意見です。入所して2年ほどですが、最近いくつかの顧問先企業において、普段やり取りすることが多い法務部の担当者の方以外からも、「法務部から紹介を受けた」とのことでご相談をいただくことが増えてきており、顧問先企業との信頼関係を築けていることを実感するとともに、とてもやりがいを感じています。 また、若手弁護士も主体的に案件に関わることが期待されていると感じます。もっとも、いきなり未知の領域に放り出されるということではなく、案件ごとにパートナーや先輩アソシエイトの先生が相談に乗ってくださったり、適切なタイミングで丁寧に指導・フォローを受けられますので、安心して案件を進めることができています。」

田子

「顧問先企業は、金融機関を始め、事業会社や地方自治体など非常に多岐にわたりますので、必然的に取り扱う分野はバリエーションに富んだものになります。中には、特殊な業務分野に関するご相談もありますね。」

今後のキャリア形成

田子

「久木元先生は現在顧問先企業に出向中ですが、当事務所の多くの弁護士が、出向や留学を経験し、それぞれのキャリアを積んでいます。お二人は、今後の当事務所でのキャリア形成についてはどのように考えていますか?」

新實

「私は、幅広い分野の業務を経験できるという当事務所の環境を生かして、様々な案件への対応力を高めつつ、自分の軸とする専門分野を見つけ、その分野への知見を深めていきたいと考えています。 色々な案件に対応できる、という点は、弁護士にとって理想の姿ではあるので、案件への対応力は常に高めていきたいと思います。もっとも、弁護士として仕事をする中で、全ての業務分野を完璧にこなすというのは現実的には難しいですし、自分の弁護士としての強みを出すためにも、得意分野を確立していくことも重要であると考えています。様々な案件を経験できるという環境は、案件への対応力を高めると同時に、自身の軸となる専門分野を見つけるためにもベストな環境であると感じています。」

坂本

「私も中途採用で入所しましたが、幅広い業務分野の経験を積みつつも、軸となる専門分野を持つということは企業法務の弁護士として必要であると思います。実際に当事務所のパートナーはそれぞれ専門分野を持ち、顧問対応として幅広い業務分野をこなしつつも、各分野のスペシャリストとしても活躍しています。案件対応の中で自分の専門外の分野に関しては、その分野のスペシャリストである他の弁護士と協力して対応できる点も当事務所の強みだと思います。」

久木元

「出向先では海外案件に携わることが多く、今後のキャリアを検討する上で刺激になっており、出向で得た知見を事務所に還元していきたいと考えています。当事務所では留学制度も整っているため、弁護士としてどのような道を歩んでいくかについて、幅広い選択肢があると思います。今後のキャリア形成については、ライフステージの展開によっても変わり得るところであり、悩む点も多いですが、女性弁護士も増え、自身のキャリア形成についても相談しやすい環境になっていると感じます。」

田子

「当事務所としては民間会社や官公庁への出向の機会を積極的に設けるようにしたいと考えています。当然ながら法律に従ったアドバイスを顧問先企業がその通りに実行できるとは限らず、顧問先企業のビジネスや市場環境等を踏まえたソリューションを提供できることは、企業法務弁護士として重要なスキルです。そのためにも法律事務所の外での仕事を経験することは、キャリア形成において重要なことだと考えています。 また、クロスボーダー案件の対応にあたっては、言語のみならず、海外法制等の習得も必要ですので、海外留学は事務所として積極的に支援しています。海外の提携先の法律事務所で実務経験を積む機会もあり、海外法務のキャリア形成にも力を入れています。」

事務所の雰囲気

坂本

「日々の業務を行う上で、事務所の風通しのよさや、弁護士間の良好な関係性というのは大事な点ですよね。入所されてから久木元先生は5年、新實先生は2年が経ちましたが、お二人から見て当事務所の雰囲気や弁護士同士の関係はどのようなものですか?」

久木元

「先ほど女性弁護士間のコミュニケーションについて少し触れましたが、実はパートナーからアソシエイトまで、全女性弁護士で集う女子会なども行っているんです。坂本先生ともご一緒させていただきました。」

坂本

「女性弁護士が増えて、大分賑やかな会になりましたね。今後も是非定期的に開催したいと思っています。女子会以外にも、特に若手の先生方は仲が良く、よく集まっている姿を見掛けます。」

新實

「私は中途採用で入所しましたが、同期の弁護士はもちろんのこと、期の近い先輩や後輩、パートナーの先生方にはとても仲良くしていただいています。前事務所はかなり規模の大きい事務所でしたので、所属弁護士の数も多く、名前も顔も知らない弁護士も少なくなかったのですが、当事務所は人数的にも名前と顔が一致していて、特にパートナーの先生とはこの2年で全員と一度は案件対応をご一緒する機会がありましたので、事務所としてのチームワークも良好であるように感じています。」

久木元

「私も、弁護士間の良好な関係性は業務上プラスに働いていると思います。1~2年目の頃、田子先生から、「凱旋できるよ」といって私の修習地の裁判所に係属している訴訟案件を配点していただいたことがありました。多忙な時期かつ難しい案件でしたが、その配慮が嬉しく、モチベーションになっていたことをよく覚えています。」

田子

「私も覚えています。あの件は、尋問の機会もあり、良い結果も得られましたので、有意義な経験ができましたね。 年次の離れたパートナーとペアになって案件対応を行うこともあるかと思いますが、やりづらさなどはないでしょうか。」

新實

「やりづらいということはなく、むしろ、パートナーの先生は気軽に相談に乗ってくださいますし、若手である自分と議論し、意見を積極的に取り入れてくださるのがとても勉強になるとともに、やりがいを感じます。また、弁護士の執務スペースは個室ではなく、パーテーションで仕切られたブースの形式になっていて、物理的にも声をかけやすいです。坂本先生とは席が近いのですが、いつも若手アソシエイトが坂本先生のお席まで気軽に来て相談しているので、入所した当時は、そんなに気軽に上の年次の先生の席に来ていいんだ、と少し驚きました。 また、当事務所では所内イベント等の行事もあり、普段から他の弁護士とコミュニケーションを図る機会があるのはとても良いと感じています。一方で、勤務時間後や休日に懇親会やイベントが多すぎるということもないので、個人的にはとてもちょうど良い距離感であると感じています。」

田子

「若手弁護士が先輩弁護士に遠慮せずに積極的に議論し、案件に取り組むことのできる環境というのは当事務所の伝統的なスタイルですので、我々パートナー弁護士は特に上の年次であればあるほど、若手の弁護士が主体的・積極的に活躍できる環境作りを心掛けています。」

プライベートと仕事の両立

田子

「お二人はいつも熱心に業務に取り組んでいますが、プライベートとの両立はどのようにされていますか?」

久木元

「入所して間もない頃は慣れないことも多く、タクシーで帰宅する日もありましたが、基本的には終電までには帰宅できる生活を送っていました。徐々に業務に慣れてきてからは早く帰れるようになりました。週末は案件の状況次第では対応する場合もありますが、土日両方とも休めないということは今までになく、趣味のゲームやアニメ鑑賞に興じたり、小旅行に出かけたりとプライベートの時間を楽しんでいます。」


新實

「私は、平日朝9時過ぎから出所していますが、夕食のタイミングで自宅に帰り、その後残りの仕事を在宅で行うこともあります。当事務所では、案件の状況に応じてテレワークも可能であり、また、案件が立て込んでいないときには平日でも夜の時間を自宅での読書等、プライベートに充てることもできています。休暇制度もしっかりと用意されていて、また、休暇時には弁護士同士で積極的にカバーしあう意識が強いので、遠慮なく休暇を取ることもできています。」

坂本

「企業法務という性質上、時には急ぎの案件であったり、数多くの相談が来て忙しくなることはやむを得ないのですが、だからこそ休める時にはプライベートをしっかりと確保して英気を養った上で仕事に取り組んでもらいたいと考えています。」

将来どのような弁護士になりたいか

坂本

「ここまで色々とお話を伺ってきましたが、最後に、お二人は将来どのような弁護士になりたいと考えているかについてお聞かせください。」

久木元

「クライアントとの信頼関係を培ってきた事務所での経験と、より近くでビジネスニーズを感じ、外から事務所を見ることができたという出向先での経験を活かして、単に法的に正しいことを回答するのではなく、よりクライアントに寄り添ったきめ細かいサービスを提供できる、クライアントファーストな弁護士になりたいと考えています。 訴訟・紛争対応を含め、幅広い業務分野での経験を活かしながら、自己の強みを磨いていきたいです。」

新實

「当事務所に入所して、当事務所が長い歴史の中で数多くのクライアントと良好な信頼関係を築き上げ、それを受け継いできたことを、案件対応を通じて実感しています。積み重ねてきたクライアントとの信頼関係を、当事務所の一員として、より強固にしていくことはもちろんのこと、積み重ねてきた歴史を踏まえた上で、自分にしか出せない付加価値を提供できる弁護士になり、事務所として提供できるサービスの幅をより広げていけるようになりたいと考えています。」

田子

「当事務所は120年以上の伝統を有していますので、当然ながら事務所の弁護士は何度も世代交代を繰り返しています。それにもかかわらず、長年にわたりクライアントからの信頼関係を維持できているのは、「伝統とは、革新の連続である」というスローガンのもと、個々の弁護士がそれぞれの個性を身に付け、事務所として変化を止めることなく、常にクライアントにとって適切なサービスが提供できる体制を常に模索し続けていることにあると思います。 お二人にもぜひ当事務所の一員として、革新の連続を止めることなく歴史をつないでいってもらいたいと思っています。」

おわりに

田子

「お二人とも本日は色々なお話を聞かせていただきありがとうございました。若手の先生方の率直な思いを聞くことができ、我々もとても参考になりました。お二人のお話のとおり、様々な案件を経験でき、若手弁護士が主体的に活躍できる環境は、長年クライアントとの信頼関係を構築してきた当事務所だからこそ作り上げることのできた環境であると思います。これからも皆さんと一緒にそのようなクライアントとの信頼関係をさらに深化させながら事務所を発展させていき、顧問先企業を始めとするクライアントや社会に貢献していきたいと考えています。 改めて本日はどうもありがとうございました。」